現代日本文学論 
MATSUI KEIKO
松井 佳子 
2単位 
1〜4年 
後期 
戦争と文学:20世紀の記憶

20世紀は(21世紀もそうであるかもしれないが)世界が戦争に満ち、それを自覚的に記憶/表象して次世代に伝えようとした時代であった。戦争の記憶は決して当事者だけの問題ではなく戦争を経験しない人々にとっても重要な歴史認識であろう。この授業では第二次世界大戦の集団的記憶が日本の戦争/戦後文学のなかにどのような形で表象されているかを検証すると同時に、戦争についてわたしたちは今何をどのように考えるべきなのかをディスカッションしたい。  

評価方法: プレゼンテーション、レポート、定期試験の総合評価とする。

テキスト名: 大岡昇平『野火』新潮文庫
武田泰淳『ひかりごけ』新潮文庫
加藤尚武『戦争倫理学』ちくま新書、2003年
他に授業で扱うリーディング・リストは初回のクラスで配布する予定である。

授業計画――――――――――――――――――――――――――――――
1.授業の内容と進め方の説明
2.日本の戦争文学/戦後文学の歴史的な位置づけ
3.戦争と文学:問題意識の抽出
4.加藤尚武『戦争倫理学』
5.大岡昇平『野火』:ナショナリズムとエゴイズムの問題
6.『野火』
7.武田泰淳『ひかりごけ』:人肉喰いは正当化されるか否か
8.『ひかりごけ』
9.ビデオ映画鑑賞『ひかりごけ』
10.井伏鱒二『黒い雨』:原爆文学の意義
11.『黒い雨』
12.まとめ
13.定期試験