ヨーロッパ政治経済論I 
TOKADO KAZUEI
戸門 一衛 
2単位 
1〜4年 
前期 
欧州統合の「壮大な実験」を検証する!

戦争に明け暮れた欧州に「不戦共同体」ができてから半世紀が経った。EU(欧州連合)は、欧州市民の生活に密接に関わるようになっており、2004年からは中東欧諸国の加盟によって25カ国体制になろうとしている。EUの機能の深化と拡大は、「人類史における壮大な実験」ともいえる画期的な側面を持っている。何が、なぜ、画期的なのか?
欧州統合の歴史、EUの制度と機能、機能の深化、新たな課題などを解明することによって、この問いに答えたいと思う。これこそまさに、この講義がめざす目的である。  

評価方法: 出席点 約25点、自由課題レポート 約15点、論述試験 約60点の計100点で評価する。

参考文献: 田中俊郎『EUの政治』岩波書店、1998年
島野・岡村・田中『EU入門』有斐閣、2001年
F・ドルーシュ(花上訳・木村監修)『ヨーロッパの歴史』東京書籍、1996年
特定の教科書は使用しない。基本的にハンドアウト・レジュメを配布する。
European Commission(欧州委員会)のホームページ http://europa.eu.int(欧州15カ国の公用語)または駐日欧州委員会代表部のhttp://jpn.cec.eu.int(日本語)が情報の宝庫である。

注意事項: 国際コミュニケーション学科・国際言語文化学科の学生には「国際研究科目」として指定されている科目ではないが、「自由選択科目」として履修可能である。国際関係のテーマに関して視野を広め、問題意識を研ぎ澄ますために、国際両学科の学生にも受講を強く勧める。なお、3年次に戸門ゼミ(「地域・国際研究演習」=「研究演習」)を履修し、いずれは卒論を執筆したいと希望する学生は、2年次(時間割上無理な場合は3年次)に、この講義を履修することが望ましい。 

授業計画――――――――――――――――――――――――――――――
1.欧州統合の「壮大な実験」とは何か? EU研究から見えるもの。
2.『ヨーロッパの歴史』・欧州共通教科書の意義
3.欧州統合の思想的系譜:リヒャルト・クーデンホフ=カレルギーの欧州統合運動からモネとシューマンへ
4.ECSC(欧州石炭鉄鋼共同体)・EEC(欧州経済共同体)の成立
5.国家主権の委譲:関税同盟・共通政策
6.EECからEC(欧州共同体)、ECからEU(欧州連合)へ
7.加盟国の拡大
8.European Single Market(欧州市場統合)
9.機能の深化
10.欧州市民権と多文化共生
11.新たな課題:中東欧諸国の加盟
12.新たな課題:移民問題を中心に
13.共通外交・安全保障政策/司法内務協力