国際関係論IC 
TAKASUGI TADAAKI
高杉 忠明 
2単位 
1〜4年 
前期 
国際関係の基礎的な考え方を知る講座

現在の国際関係はきわめて複雑で、かつめまぐるしく変化している。とくに冷戦終結後、伝統的な主権国家に加えて国連や多国籍企業、NGO(非政府組織)、民族・宗教グループ、NPO(非営利団体)など多くのアクターが国際関係にさまざまな影響を与えるようになってきた。また国際関係の主要な研究対象領域には冷戦期のようなパワー・ポリティックスや軍事・安全保障に関するものだけでなく、経済・社会問題、人口、食糧、環境破壊、第三世界の貧困、民族・地域紛争など広範な問題が登場してきた。
この授業ではこのように多層化し、複雑化する国際関係を理解するため、歴史・理論・政策という3つの側面に焦点を合わせ講義を進める。講義内容は国際関係論を学ぶために必要な歴史的な知識と基礎概念の説明を中心に進められる。  

評価方法: レポート(50%)と筆記試験(50%)ならびに出席状況を加味して評価します。

テキスト名: 長谷川雄一、高杉忠明『新版 現代の国際政治』ミネルヴァ書房、2002年
J・ギャディス『ロングピース』芦書房、2002年

参考文献: B・ラセット他『世界政治の分析手法』論創社、2002年
前期開講の国際関係論と後期開講の国際関係論は、両方の科目を履修することで国際関係論という研究分野全体が理解できる構成になっていますので、原則としてこの二つの科目を履修することが望ましい。また国際関係論は、国際関係論を履修し、理解していることを前提に授業が進められます。

授業計画――――――――――――――――――――――――――――――
1.オリエンテーション(授業の進め方と成績評価の説明)
2.国際関係論とはどのような学問なのか?その歴史、研究対象、分析手法など
3.国際関係に対する4つのイメージ(1)ホッブス的イメージ、マルクス的イメージ
4.国際関係に対する4つのイメージ(2)スミス・グロチウス的イメージ、カント的イメージ
5.近代ヨーロッパ国家体系の成立(17世紀から19世紀までの国際関係)ウェストファリア条約体制、主権国家、絶対王制、勢力均衡体系、大国主義外交、秘密外交、植民地主義、列強による世界分割、国際法など
6.20世紀の国際関係史(1)第一次世界大戦から第二次世界大戦へ ベルサイユ体制の成立、独占資本主義による植民地争奪戦、帝国主義外交、ウィルソン14箇条、ロシア革命、国際連盟の成立、
7.20世紀の国際関係史(2)危機の20年、世界恐慌、ブロック経済、ファシズムの台頭、三国同盟VS連合国、
ドイツのポーランド侵攻、日本の真珠湾攻撃など
8.20世紀の国際関係史(3)第二次世界大戦から冷戦期の国際関係 ヤルタ会談、東欧の共産化、日本とドイツの敗北、核兵器と国際管理、トルーマン・ドクトリン、マーシャル・プラン、ドイツの分断化、中国の共産化、朝鮮戦争、核軍拡、キューバ危機など
9.20世紀の国際関係史(4)二極化から多極化へ、中ソ対立と米ソデタント、ベトナム戦争、中東危機と石油危機、第三世界をめぐる米ソ対立の再燃など
10.20世紀の国際関係史(5)アフガニスタン侵攻と第二次冷戦、レーガンとゴルバチョフの登場(新デタント)、INF全廃条約、東欧の民主化、ベルリンの壁崩壊、マルタ会談など
11.20世紀の国際関係史(6)ポスト冷戦期の国際関係 ソ連の崩壊、湾岸戦争、地域紛争の台頭と国連平和維持活動の活性化(ソマリア、ルワンダ等)、地域主義の台頭、ヨーロッパの動向(東西ドイツの統合、ECからEUへ)、アジア・太平洋の動向(ASEANなど)、アメリカの単独行動主義など
12.国際関係の見方(1)リアリズムとは? 勢力均衡論(バランス・オブ・パワー)、ネオ・リアリズム(覇権安定論、覇権循環論)、二極化、多極化、ゲーム論など
13.国際関係の見方(2)リベラリズムとは? 相互依存論、ネオ・リベラリズム、機能主義、新機能主義、トランスナショナリズム、レジーム論など
14.まとめ
15.筆記テスト