日本倫理思想史IA 
UOZUMI TAKASHI
魚住 孝至 
2単位 
1〜4年 
前期 
宮本武蔵における武士の精神と道の思想

宮本武蔵については、小説などの虚像が大きくその真の姿は知られていない。最近の研究で明らかになってきたその生涯を、時代背景と関わらせながら論じる。これまで殆ど知られていなかった若い時期の著作からの展開を見たうえで、『五輪書』を深く読みたい。『五輪書』は、剣術を核とした武士の生き方を書いている。武蔵を通して、中世から近世への転換期にあった様々な可能性をみるとともに、武士の精神と一つの道を極める思想について考えてみたい。  

評価方法: 評価方法*講義後の感想、中間の小レポート、期末試験。

テキスト名: 宮本武蔵著『五輪書』岩波文庫
魚住孝至著『宮本武蔵―日本人の道』ぺりかん社

授業計画――――――――――――――――――――――――――――――
1.はじめに 今期の問題意識 武蔵論と思想史的位置
2..武蔵の時代背景
生涯(1)播磨の生家と養父宮本無二斎、関が原合戦後の諸国武者修行
3.生涯(2)30代からの兵法の道理追求、大坂の陣後の社会と譜代の客分
4.生涯(3)寛永文化―武蔵の諸芸と画、養子伊織
5.生涯(4)島原の乱、熊本藩客分、武蔵の死
6..武蔵の思想形成
思想形成(1)20代の『兵道鏡』から『兵法書付』へ
7.思想形成(2)『兵法三十五箇条』から「五方之太刀道」へ
8.思想形成(3)『五輪書』の成立と構成
9..『五輪書』の思想
(1)―地の巻について
10.(2)―水の巻について
11.(3)―火の巻について
12.(4)―風の巻のまとめ
13.(5)―空の巻について
14..宮本武蔵の思想史的位置―日本人の「道」の思想
15.近世社会の本格的始まりと伝統思想