言語哲学I 
HIKASA KATSUSHI
樋笠 勝士 
2単位 
1〜4年 
前期 
言語哲学とは何か

「言語とは何か」。これが言語哲学の問いである。これは極めて根本的で原理的な問いである。
外語大で「言語を学ぶ」時には、言語は道具のイメージで捉えることであろう。しかも流暢に使えるようになるほど言語を道具として意識せず、従って言語そのものを正面から捉え直すことは殆どないと言っても過言でないであろう。だからこそ、むしろ外語大では、言語への反省的意識が必要である。言語学はその一つの現れである。しかし、言語学は、既に使われている言語の存在やコミュニケーションの現実を承認した上で探求する科学であり、しかも探求が各国語の範囲内に限られることが多い。これに対して、言語哲学は科学ではなく哲学である。従って、「人間にとって言語一般はどのような意味をもつか」、「果たして言語の働きはコミュニケーションだけであるのか」、「宗教的な言語はどのような価値があるのか」、「詩的な言語は人生にどのような影響を与えるのか」などのような、哲学的な問いを出してゆくのである。このようなことをゆっくりと考えていきたい。  

評価方法: 試験で判断する。

テキスト名: 適当なテキストや参考書を適宜教室にて紹介する。

授業計画――――――――――――――――――――――――――――――
1.序論:言語学と哲学と言語哲学
2.言語哲学史1…「言葉」の本質
3.言語哲学史2…コミュニケーション
4.言語哲学史3…言語記号論
5.言語哲学史4…日常言語
6.言語哲学史5…言語身体論
7.史的考察の意味:哲学史と哲学すること
8.言語哲学の諸相1…論理学と修辞学
9.言語哲学の諸相2…詩的言語
10.言語哲学の諸相3…解釈学
11.言語哲学の諸相4…言語行為
12.言語哲学の諸相5…「はじめに愛があった」
13.再び「言語とは何か」を問う