韓国史特講I 
MITSUI TAKASHI
三ツ井 崇 
2単位 
2〜4年 
前期 
「言語問題」からみた朝鮮近代史〈開化期〜植民地期(1910年代)〉

本講義は、歴史学の観点から「言語問題」をとらえてみようとするものである。近代における日朝間の政治的緊張関係のなか、「言語」をめぐってどのような動態が展開されたのか。一口に「言語問題」と言っても、その内実はきわめて多様だが、本講義では、朝鮮語(および日本語)をめぐって繰り広げられた「言語問題」の諸相について、19世紀後半から植民地下の三・一独立運動(1919年)前後までの時期における政治、教育、文化、思想などの諸側面との関係性において確認し、その歴史的性格について考える。  

評価方法: 筆記試験(75%)と出席状況(25%)。

テキスト名: テキストは毎回の講義レジュメをもって代える。講義時にはその都度、上記の参考文献以外に参考文献・資料などを紹介する。

参考文献: 朝鮮史研究会(編)『朝鮮の歴史 新版』三省堂、1995年
大槻健、君島和彦、申奎燮(訳)『新版 韓国の歴史』明石書店、2000年

注意事項: 朝鮮近代史の流れに関して概説的な知識を有することが望ましいが、とくに受講制限はしない。 

授業計画――――――――――――――――――――――――――――――
1.ガイダンス
2.本講義の視角について
3.開港期〜「韓国併合」期:政治的背景
4.開港期〜「韓国併合」期:開化期における言語・文字ナショナリズム
5.開港期〜「韓国併合」期:朝鮮語系統論とその政治的機能
6.開港期〜「韓国併合」期:朝鮮人に対する日本語・朝鮮語教育
7.開港期〜「韓国併合」期:日本人に対する朝鮮語教育
8.植民地期(1910年代):「武断政治」の概要
9.植民地期(1910年代):「同化」イデオロギーと「国語」教育
10.植民地期(1910年代):朝鮮語系統論の政治思想的役割と「同化」イデオロギー
11.植民地期(1910年代):朝鮮総督府の朝鮮語教育政策
12.植民地期(1910年代):日本人の朝鮮語学習
13.植民地期(1910年代):旧慣制度調査事業と『朝鮮語辞典』
14.植民地期(1910年代):民族運動の展開と言語、そして三・一独立運動
15.まとめと展望