韓国文化特定研究 
HAYASHI FUMIKI
林 史樹 
4単位 
2〜4年 
通年 

文化的な事象に「伝統」という語が付与することでにわかに価値づけられ、重んじられる経験を我々はしている。出自や来歴にこだわる韓国でも「伝統」に「正統性」という評価を付け加え、文化そのほかを語るうえで、ことさら「伝統」に依拠した「正統性」を主張することが多い。しかし「伝統的」と思われていたものが、実は近年に創造された産物であることも珍しくない。このような、いわゆる「伝統文化のつくりかえ」は指摘されて久しいが、現在もなお、その呪縛から抜け切れていないのも事実である。前半は韓国・朝鮮において常に文化が創出されていく過程を諸事例をとりあげて紹介する。後半は参加者による発表と討議を通じて関心を深めていきたい。発表では「韓国文化」と関連した各自のテーマをもちより、前半の内容を念頭に置きながら討論することで、我々が何をみて「韓国的」と規定しているのかを考えていきたい。  

評価方法: 平常点と発表およびレポートで評価する。

テキスト名: 参考となる文献を開講時に指示する。必要に応じて随時関連資料を配布する。

注意事項: 細かな講義内容については若干の変更を行うこともある。 

授業計画――――――――――――――――――――――――――――――
1.イントロダクション―文化創造を通して何をみるか
2.「伝統文化のつくりかえ」と文化の創造について
3.朝鮮半島における伝統民俗の復興過程
4.独立・分断以降の「根探し」時代
5.「伝統文化」化した民俗芸能1―仮面劇、マダン劇、サムルノリ
6.「伝統文化」化した民俗芸能2―連続と不連続
7.郷土文化祭の創造1
8.郷土文化祭の創造2
9.新たな観光地の登場
10.現代生活にみる文化創造の基盤
11.現代生活にみる文化創造1―健康、漢方薬
12.現代生活にみる文化創造2―生みだされる食文化
13.現代生活にみる文化創造3―結婚式、各記念日
14.国民をつくりあげるための文化創造
15.まとめ―後半の発表に向けて