英国研究入門 
AKIMOTO TOMIO
秋本 富雄 
4単位 
1〜4年 
通年 
現代イギリス社会の諸相

この講義の目的は、21世紀英国社会の「今」を多面的に理解するための基本的知識を身につけることにあります。前半は、連合王国(United Kingdom)という「国のかたち」を理解してもらうために、必要に応じて歴史・文化的背景について触れながら、1980年代以降大きく変わりつつある、イギリスの立法・行政・司法制度の現状を考察していきます。後半は、中央〜地方関係とナショナリズム、経済、階級社会の変容、EU統合、福祉国家、教育、マス・メディアなどのテーマを取り上げながら、イギリス社会の多様化状況を明らかにしていく予定です。  

評価方法: 原則として課題レポートおよび定期試験による評価。授業への貢献度も積極的に考慮していきます。

テキスト名: 講義はレジュメを中心に進めていくので、指定するテキストはありません。
上記英書は、この講義のプログラムを作る上で参考にしているものです。この講義のサブ・テキストに指定しても良いのですが、英語が専門でない諸君がいること、価格が高いことから、参考文献として紹介するにとどめます。
上記和書は、イギリスの歴史・社会を自分で勉強するために役立つものです。

参考文献: 青山吉信、今井宏『概説イギリス史』有斐閣、1991年
ポール・スノードン、大竹正次『イギリスの社会』早稲田大学出版部、1997年
John Oakland, British Civilization, Routledge, 2002.

注意事項: 折に触れ、イギリスに関するアップ・トゥー・デートな話題も取り上げていく予定なので、授業の項目・進度に変更のでる可能性があります。 

授業計画――――――――――――――――――――――――――――――
1.イントロダクション:現代英国研究の視座
:イギリスの地理
2.英国史概観:古代から近代まで、ブリテン島の歴史を振り返る。
:イギリスの宗教
3.英国憲法制度:「成文」憲法のない英国の「憲法」とは?
:イギリス皇室の現在
4.英国の議院内閣制:イギリスの議会制度
:首相と内閣
:補遺:選挙制度と政党政治
5.英国の行政制度:ホワイト・ホールとは?
:サッチャー政権による行政改革
6.英国の司法制度:イギリスの裁判制度
:現代イギリスの「法と秩序」を考える
7.英国の地方自治体:「カウンシル」制度
:ブレア政権による地方自治体改革
8.ナショナリズム:中央〜地方関係の変容=デボリューション(権限移譲)
:スコットランドにみるナショナリズムの軌跡
9.英国経済:産業革命からの英国経済小史
:イギリス産業構造の転換
:イギリス経済の主要機関と制度
:英国階級構造の変容
10.EU統合と英国:EU小史
:ERM(通貨メカニズム)離脱以後の対EU政策
11.英国の福祉制度:福祉国家の成立
:ブレア政権による福祉国家体制の再検討
12.英国の教育事情:英国の教育制度
:ブレア政権による教育改革の現状
13.英国のマス・メディア:イギリスのテレビと新聞
:メディアの独立性
14.まとめ