英文学研究 
TAKAKUWA YOKO
高桑 陽子 
4単位 
2〜4年 
後期 
「文化批評入門」

文化批評は、あらゆる文化的構築物――フィクション、映画、絵画、ファッション、家具など――をテクストとして見なし、ラカンやデリダなどの理論を応用して、読み解釈する実践である。
このセミナーでは、英文学だけでなく、絵画、オブジェなども例に取って論じている、『ポスト構造主義理論入門』を読んで、疑問や問題点を議論しながら、理論的に考え分析する訓練をする。「入門」とはいえ簡単ではない。進み具合は受講者の興味や貢献度による。疑問を突っ込んで話し合えば、読む速度は遅くなるが、ただ急いで字面だけ読んで理解が追い付かないのも困るので、兼ね合いを見ながら進みたい。おそらく全部は読めないので、イントロダクションとして先ず第1章を読み、第3章「差異と欲望」、第4章「差異か真実か?」に進む予定である。  

評価方法: 平常点とレポートにより総合的に評価する。

テキスト名: Catherine Belsey, Poststructuralism: A Very Short Introduction, Oxford University Press, 2002.
参考文献は、授業で適時指示する。上記の理論家たちの著作は邦訳があるので、先ずは、興味を引かれたものからぜひ読んでみてほしい。

授業計画――――――――――――――――――――――――――――――
1.意味とは何か(ルイス・キャロル『鏡の国のアリス』)
2.ことばと差異
3.フェルディナンド・ド・ソシュール、シニフィアンとシニフェ(ルネ・マグリットの絵)
4.ロラン・バルト「作者の死」
5.主体とは何か
6.ミシェル・フーコー『エルキュリーヌ・バルバン』
7.性的規範と抵抗
8.精神分析、ジャック・ラカン
9.欲望の主体(ティティアーノの絵、シェイクスピア『ヴィーナスとアドニス』)
10.ジュリア・クリステヴァ『外国人』、他者性の問題
11.客観的知識はありうるか
12.ジャック・デリダ、脱構築と二項対立(シェイクスピア「ソネット」18番)
13.「差延」
14.「芸術」の脱構築(マルセル・デシャンのオブジェ)
15.決定不可能性