米文学講義 
MATSUI KEIKO
松井 佳子 
4単位 
1〜4年 
後期 
アメリカ文学における人種/ジェンダー/エスニシティの問題

ポスト9.11の世界を理解するには、アメリカという国を解きほぐす必要がある。この授業ではアメリカという国をもっとよく知るために、1980年代に勃興した「多文化主義」の理念と雁行する形で起こった「エスニック文学」の興隆に目を向け、多民族国家アメリカのエスニシティがいかにジェンダーや人種という差異のマトリックスと不可分なかたちで関連しているかを検証することにする。アメリカは決して固定された一枚岩の国家ではない。人種や文化の混交がエスニシティとダイナミックにせめぎあっている。この交種性の「声」をアメリカ現代文学作品から聴き取ってみたい。  

評価方法: 出席率、レポート、定期試験の総合評価とする。

テキスト名: 原 恵理子 編『ジェンダーとアメリカ文学:人種と歴史の表象』勁草書房、2002年

授業計画――――――――――――――――――――――――――――――
1.授業の内容と進め方の説明
2.アメリカ文学の分水嶺:1960年代/
「大きな物語」の終焉
3.文学と歴史認識
4.アメリカ・インディアン文学のジェンダー/エスニシティ
5.アメリカ文学史のリ=ヴィジョン
6.アフリカ系アメリカ人文学:人種問題とジェンダーの交差
7.ビデオ映画鑑賞
8.アジア系アメリカ人文学(中国系)
9.アジア系アメリカ人文学(日系)
10.アジア系アメリカ人文学(その他のアジア系)
11.ユダヤ系アメリカ人文学
12.まとめ:ポスト多文化主義の価値観にむけて
13.定期試験