英文学史A 
TAKAKUWA YOKO
高桑 陽子 
4単位 
1〜4年 
前期 
英文学の多様性

現代、英語は世界共通言語のように思われている。だが、かつて英語はヨーロッパの辺境の一島国の言語にすぎなかった。イングランドが「新興国家」として政治的、経済的な力を獲得していくにつれて、英語で書くことが評価されるようになったのは、16、7世紀頃からである。この時代はまた、絶対王政から共和制を経て王政復古へと揺れ動き、宗教改革や宗教革命の嵐の吹きすさぶ、政治的、宗教的、経済的激変の時代でもあった。
16世紀から講義を始め、先ず、近代初期のルネサンス演劇と詩を(特にシェイクスピアを中心に)重点的に学ぶ。その後、小説の誕生と発展を、女性作家に焦点を当てて読む予定である。
できるだけ様々な作品に接することによって、英文学に親しみ、英文学の多様性への理解を深めると共に、欲望、ジェンダー、セクシュアリティ、人種などの問題も合わせて考えたい。  

評価方法: 期末試験により評価する。

テキスト名: Ronald Carter & John McRae, The Penguin Guide to English Literature:Britain and Ireland, Penguin, 1995.
テキストには日本語の注釈(¥2,000)もあるが、授業では使用しない。参考文献は、適時指示する。

授業計画――――――――――――――――――――――――――――――
1.英国ルネサンス、ヘンリー八世と宗教改革
2.復讐劇の系譜、シェイクスピア『ハムレット』
3.絶対主義の矛盾、エリザベス一世、シェイクスピア『リチャード二世』
4.シェイクスピア『ヘンリー五世』、王とは何か
5.シェイクスピアとジェンダー・人種
6.シェイクスピアの劇場と人生のメタファー
7.クリストファー・マーロウ『フォースタス博士』と欲望
8.仮面劇、劇場の舞台構造の変化
9.ソネット(シェイクスピア、フィリップ・シドニー)、エドマンド・スペンサー
10.形而上詩(ジョン・ダンとアンドルー・マーヴェル)
11.欽定英訳聖書、ミルトン『失楽園』
12.ピカレスク・ロマンと小説の誕生、女性職業作家アフラ・ベーンの登場
13.ジェイン・オースティン『エマ』
14.シャーロット・ブロンテ『ジェイン・エア』
15.エミリー・ブロンテ『嵐が丘』