英語という言語が統語的、音韻的にどの様な変化をたどってきたのかを概説する。例えば、 (1)sheepは複数形でもsheepである理由は何か? (2)man/men, foot/feet, child/children等の不規則な複数形はどうしてできたのか? (3)現代英語の綴り字と発音の不一致の原因は何か? (4)bake, home, takeなどの語末のeが前の母音が長いことを示す一方、back, thinkなどの語末の二重子音が前の母音が短いことを示すようになったのは何故か? 英語がたどってきたこのような歴史的変化を学ぶことは、現代英語についての知識に奥行きを与えるものと思われる。英語史の中で現代英語に直接・間接に関わる項目を中心に学んでいく。 また古英語の代表的叙事詩であるBeowulfの一節や「英詩の父」と言われる14世紀のチョーサーの作品の一部を読むことを予定している。古英語の作品に触れることにより、現代英語とは異なった古英語の力強い響きを感じることができるであろう。またチョーサーの代表作「カンタベリー物語」のなかの、敬虔なキリスト教徒である七歳の少年についての話は、その少年の愛唱歌を実際耳にすると、読む者の心を清らかにしてくれるような内容である。 なお、「英語学概論」と「英語音声学」を両方とも履修済みであることがこの科目の履修条件である。
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