わたしのソウルフード-食べ慣れたものから普段着の文化をさぐる⑫
ヘンドリッキ・リンデラウフ先生(ブラジル:セアラ州出身)
夜中に起きて、こっそり食べに行った「エンパーダ・ジ・フランゴ(Empada de Frango)
楽しみだった誕生日のご馳走
わたしにとってのご馳走は、誕生日のとき、母が作ってくれたのがエンパーダ(Empada de Frango)です。これは、鶏肉のケーキみたいなもの。パイのようなコロモがあって、そのなかに鶏肉や玉子が入っています。とってもおいしい。
ただ、手間がかかる料理なので、そう度々作ってもらえません。大きなエンパーダの半分を一家で食べて、残った半分は「ぜったい食べてはダメ」と言われました。それで、夜中の3時頃に起きて、なるべくバレないようにを端の方を切って食べました。うちの母が作ってくれたのは大きなエンパーダですが、エンパジーニャという小さなものなら、ブラジルのどこでも食べられます。
去年、オーストリアで、両親と姉と会いました。そのとき帰る前に、サプライズでエンパーダを作ってくれたのです。涙が出そうでした。
北の地方に特有な味
わたしの故郷セアラ州は、塩辛いものやスパイシーな味が多い地方。トウガラシなどをよく使います。北東部は奴隷制度が強かったので、アフリカの文化が入っているのです。もっと北のアマゾンに住むインディオの影響もあります。前回に紹介しましたが、ファロハの原料であるマンディオーカという芋は、もともとインディオが食べていたものです。それに対し、ブラジル料理として有名なシュハスコは南のものです。アルゼンチンの牛肉を使ったりします。
基本的にライスと鶏肉という組み合わせが多いと思います。鶏肉は安いですから。牛肉はブラジルでも高価です。
重さで料金が決まるシステム
余談ですが、日本のバイキングのようなレストランは、ブラジルにもあります。サラリーマン向けの昼食バイキングといった店もできました。そんななかに、レストランテ・ポー・キロ(Restaurante por quilo)というのがあります。ここは、皿の上に好きなものを取っていって、最後にその重さに応じてお金を払うというシステムです。わたしはいつも山盛りに取ってしまうので、日本のような均一料金の方がありがたいです。