わたしのソウルフード-食べ慣れたものから普段着の文化をさぐる

第1回:マーク・ウィンチェスター先生(イギリス:ハンプシャー州出身)

 

『プディングはいつも身近にあるデザート』

 

-チョコレート・プディング-

  子どもの頃食べてたもので、忘れられないのはチョコレート・プディングです。

 

 母親がよく作ってくれました。コンデンスミルクと電子レンジを使っていたことは覚えていますが、作り方は知りません。母がどこかからレシピを仕入れてきたのだと思います。最初作ったときはバクハツして、キッチン中に飛び散りました。

 

 ちゃんとできれば、もちもちしたスポンジケーキに、チョコレートソースがたっぷりかかったものです。とんでもない見た目とは裏腹に、食べてみると奇跡的においしい。わたしは甘党ではありませんが、いっぺんで好きになってしまいました。

 

 暖かいソースが掛かったプディングは、冬のデザートです。うちのチョコレート・プディングはあまりイギリス的とは言えませんが、イギリスには温かいプディングの文化があります。スポンジケーキに、温かいソースがついてくるものが多いでしょう。

 

 プディングといえば、ドライフルーツを使ったクリスマス・プディングが有名です。これなどは、中世から北ヨーロッパ全域にあります。ブランデー入りのバターをつけるのが、伝統的な食べ方です。こうしたプディングは、季節によっては日本のイギリスパブなどでも食べられると思います。

 

 イギリスの味の傾向は、ごく大雑把に言えば、北は味が濃く、南は薄いと言えでしょう。わたしは南部の出身で、大学に通うためシェフィールドで過ごしましたが、カレーがおいしいと感じました。ここは鉄鋼業が盛んな土地で、カレーは労働者の食べ物です。