わたしのお茶の時間-食べ慣れたものから普段着の文化をさぐる part.2-③

アルセニオ・サンス・リベーラ先生(スペイン・マドリード出身)

 

食事のひとときにコーヒー

 朝、コーヒーを飲む。昼ご飯を食べたあとにコーヒー。それが、わたしがスペインで生活していたときの日常でした。コーヒーを飲むと、身体が温まります。それ以外でも、時間が空けばコーヒーを飲むことはあります。でも、時間を決めて、コーヒーを飲むために休むということはありません。

 わたしが子どもの頃は、午後に、母や姉がゆっくりコーヒーを飲んでいて、近所の人たちがクッキーを持って来たりすることもありました。そうやって人が集まって、ゆったりとする時間を過ごす。”Hora del café(eの上にアクセント記号)(コーヒーの時間)”と言われます。そういうことは、いまは少なくなってきたでしょう。

 

ミルクと砂糖を入れるのがスタンダードな飲み方

 コーヒーは濃く強い味のものを使うので、たいていミルクを入れます(Café con leche(Caféのeの上にアクセント記号))。つまり、カフェオレのようにするので、食器もけっこう大きいグラスを使います。多くの人は砂糖を入れますが、これはそれぞれの好みもあるでしょう。

 人にもよると思いますが、コーヒーと一緒にお菓子を食べる習慣はありません。せっかくクッキーがあるからとか、誰かの誕生日だからとか、そういうときくらいでしょう。

 

コーヒーはグラスかカップで

 アイスコーヒーもあります。ただ、日本のものとは違っていて、カップに一個かニコの氷を入れ、その上に熱いコーヒーを注いだものを指します。実際はあまり冷たくはありませんが、ちょっとおしゃれな感じがします。

 缶コーヒーは、スペインでは見たことがありません。おそらく人気が出ないでしょう。ビールでさえ缶で飲みたくありません。せっかく飲むのですから、グラスでいただきたいものです。

 コーヒーを飲む作法は特にありませんが、音を立てて飲むのは絶対ダメです。喫茶店でそんなことをすれば、まわり中の手がとまって、いっせいに見られるでしょう。