当研究所が主催する『異文研夏期セミナー』では、昨年、“国境を越える文化―転換期のアジア―”というテーマのもとに、21世紀を目前にして深刻な経済危機と混迷に苦しむアジアにおける、国境を越えた文化交流の果たす役割について議論しました。今年は、その視点を拡大させ、“グローバリゼーション再考―新しい視座を求めて―”をテーマに、アジア諸地域とのかかわりを視野に入れつつ、21世紀に向けた日本の方向性について議論を展開することをねらいとしています。
1日目(9月1日)は、まずチェックインの後、参加者の中から公募による6名の方の研究発表を予定しています。(各研究発表の持ち時間は質疑応答を含め45分。研究発表の公募については、同封の別紙「研究発表募集」を参照してください。)セミナー開会にあたってのオリエンテーションの後、基調講演に本学名誉教授、現在インドネシア在住のアリフィン・ベイ氏を予定し今回のセミナーヘの問題提起をしていただきます。夕食後には特別プログラムとして、文部省メディア教育開発センター(NIME)教授で工学博士の杉本裕二氏を話題提供者とする「ICT(情報通信技術)が拓く異文化教育の未来」が開かれます。日進月歩していく情報工学の成果を教育や国際会議の場に応用したいと考えておられる方々にとっては格好の機会になると思われます。
2日目(9月2日)は、午前中に異文化理解教育では必須のテーマの一つである異文化センシティビティーについて外国出身の方々を含む4人の参加者によるパネル・ディスカッションを行います。当セッションは文部省メディア教育開発センターとの共同開催で、日本全国の大学や海外の大学とSCS(大学間教育交流ネットワーク)等でつないだテレビ会議形式で行う予定です。
続いて石井米雄異文研所長によるランチョン・スピーチを含めた昼食後、ワークショップを開きます。今回は、2日目(9月2日)に(A)(B)2回のセッションを、最終日(9月3日)に(C)セッションを予定しています。テーマである「グローバリゼーション再考」との関連で、経済、日本近代史、コミュニケーション、ビジネス、宗教、言語、環境などの視点から、7タイトル、各2回ずつ、計14のワークショップが、2日間にわたり(A)(B)(C)の3セッションで展開され、その中から自分の希望するワークショップを3つまで選んで参加することができます。
今回は2日目のディナータイムが「懇親会」です。例年のように、近況報告、情報交換に加えて一芸披露等々、ぜひ楽しいひと時を過ごしていただきたいと考えています。
最終日(9月3日)は、午前のワークショップ(C)セッションを終え、昼食をとった後に、ラウンドテーブル・ディスカッション形式の分科会「異文化コミュニケーション研究と教育の発展に向けて」が開かれます。当セッションは今回のセミナーで得られた知識や交わされた意見を参加者がそれぞれの視点から整理し直し、コーディネーターを中心にした討議の中で、本セミナーの成果を確認し、次回を方向づける機会と考えています。参加者はプログラムに記載されているいずれかの分科会に参加していただくことになりますが、セミナー開催中に5名以上の希望者が集まり、コーディネーターを決めることができれば、その他のテーマで分科会を実施することも可能です。
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