異文化コミュニケーション研究所
    Intercultural Communication Institute

 
第61回 異文研キャンパス・レクチャー・シリーズ


タイトル

韓国宮中料理と現代の食文化

講  師

林 三樹夫 氏 (李朝薬膳料理店「カヤグム」料理長)

司  会

林 史樹 (本学韓国語語学科准教授)

日  時

2009年12月9日(水) 15:10〜16:40 (開場:14:40〜)

場  所

神田外語大学(千葉・幕張) 7号館2階(クリスタルホール)

 講師からのメッセージ

青山にある李朝薬膳料理店「カヤグム」で料理長を務める、新鋭の料理人、林三樹夫氏をお呼びし、韓国に渡航し、宮中料理をはじめ、韓国料理に魅了される過程から、宮中料理の魅力、現代韓国の食文化について、ざっくばらんに語っていただきます。
NHK『チャングムの誓い』でも現在注目を浴びている韓国宮中料理の世界を一緒にのぞいてみませんか。

 講師紹介

1978年、東京生まれ。学生時代に韓国に渡航。
2003年、延世大学韓国語学堂で韓国語を習得。韓国料理「精誠本」で修行を積む。
2005年、韓国調理師免許を取得。
2006年、銀座韓国薬膳料理「はいやく」入社。
2008年、韓国宮中料理店「チファジャ」で研修。韓国の宮中飲食研究院で宮中料理を学ぶ。
2009年、李朝薬膳料理店「カヤグム」に料理長として入社。現在に至る。

 講演会報告(林 史樹・本学韓国語学科准教授)

 2009年12月9日(水)、南青山にある李朝薬膳料理店「伽耶琴(カヤグム)」料理長の林三樹夫氏を招き、「韓国宮中料理と現代の食文化」というタイトルで講演会を開催した。講演の形態に関しては、60枚に及ぶ画像資料を紹介しながら、基本的な説明を林三樹夫氏が行い、随時、韓国語学科教員の林史樹が補足するかたちで進行した。講演に際しては、学生・一般を合わせて 100名を越える参加者 全員にスジョンガ(シナモンと生姜の飲み物)と創作焼き菓子が配られ、エゴマの実・なつめと柚子の皮の入った 2種の焼き菓子はとてもおいしいと大評判であった。

 林三樹夫氏の話は以下のような順序で行われた。@自己紹介、韓国料理に魅了され、渡韓した理由。A韓国での生活と食生活、韓国料理店での仕事。B宮中料理の魅力と特徴、宮中料理店での仕事。C現在の仕事、お店の紹介である。

 @まず渡韓に至る経緯については、食にもとから関心があったところ、学生時代に焼肉店でアルバイトをしたのがきっかけであるらしい。知人を介して卒業旅行として韓国に渡航し、そこで韓国の一般家庭料理にふれたことが現在の道を選択させた。内定を得ていた企業に断りを入れての渡航であった。
 A韓国では、初渡航の際に魅了された韓国料理を習うべく、いくつかの専門店を渡り歩いて経験を積んだ後、韓国料理店「精誠本」で修行をした。そして、韓国で調理師免許を取得し、その後は薬膳料理店・宮中料理店などでも修行している。これらの経緯を、食生活にまつわるエピソードも交えながら行った。
 B宮廷料理と宮中料理の違いについて述べ、準備したレジュメにそって宮中料理に取り入れられた陰陽五行についての説明がある。その後に食材としての唐辛子の由来や味つけについての説明があり、韓煕順・黄慧性・韓福麗姉妹らの人物紹介とともに宮中料理の系譜について紹介がある。これらの話に、随時、日本の韓国宮中料理店としてあげられる「チファジャ」での研修経験なども盛り込まれた。
 C最後は、現在、李朝薬膳料理の料理長として、どのように宮中料理と接しているか、また店舗の紹介などがあり、さまざまな創作料理などがスライドと一緒に披露された。

 講演後は質疑応答に時間を割いたが、フロアから料理や食材の変遷はもとより、具体的な調理法についてまで、学生や聴講生とに問わず、活発な議論が繰り広げられた。多岐にわたる質問に一つ一つ丁寧に答えていたのが印象的であった。
 


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