異文化コミュニケーション研究所
    Intercultural Communication Institute

 
第51回 異文研キャンパス・レクチャー・シリーズ


タイトル

だから、私はケニアに帰る
〜自力の国際協力 はじめの一歩〜

講  師

中村 由香 さん (神田外語大学2007年卒業生)

司  会

和田 純 (本学教授・本研究所所長)

日  時

2007年10月16日(火) 17:00〜19:00

場  所

ミレニアムハウス
 講師からのメッセージ
2004年、春、19歳。
バックパック一つ、アフリカのケニアへ飛んだ。

人の役に立つことが、したかった。

毎日が新しい世界の連続。
近代的なナイロビの都市、その横にある別世界、スラム。
ゴミであふれかえり、異臭を放つ黒い水。
そこで懸命に生きようとするHIV感染者のシングルマザー。

ナイロビから夜行バスで10時間。
西の果ての貧しい農村。
電気がない。水道がない。ガスがない。
そんな村で始まった学校建設活動!

私は、普通の人間だ。
特別な技術も、知識もない。
応援していた女性がエイズで亡くなった。
資金不足で学校建設がとまった。
無力を感じた。

しかし、どんな環境にいても、自分にできることは必ずある。
それは行動するかしないかの問題だ。

今、自分にできることをやってみよう!
きっと何かが変わるはず。
 講師紹介
 高校卒業後、インドネシアの孤児院でのボランティア活動をしたことをきっかけに、インド、ケニア、カンボジア、フィリピンで海の清掃、英語・日本語教育、学校建設、道路建設等のボランティア活動をするようになった。神田外語大学では、英米語を専攻したが、東南アジアやアフリカに関心を持ち、国際協力についても学んだ。「ポレポレ」という有志団体を創設し、小中学校などで積極的に講演会を開いて「伝える」活動に従事してきた。
 講演会報告 (奥島美夏、異文化コミュニケーション研究所)

 アジアでの国際ボランティア活動を経て、2004年、2006年と続けてアフリカ・ケニアでの国際ボランティア活動に自主的に参加した本学卒業生が、自力で国際協力に参画してきた熱い思いとケニアの人々の現状について語った。
 首都ナイロビのスラムで懸命に生きようとするHIV感染者のシングルマザーのグループを支援し、夜行バスで10時間かかる西の果ての貧しい農村で学校建設を手伝ってきた経験が、スライドと共に具体的に披露され、特別な技術も知識もない「ごく普通の人間であっても、必ず自分にできることがある」という確信こそが一人の人間を変え、自らの「はじめの一歩」を歩み出させる原動力となる姿が浮き彫りにされた。「自分にできることは必ずある。行動するかしないかの問題だ。今、自分にできることをやってみよう!きっと何かが変わるはず」という力強いメッセージは、今年初めまで本学で共に学んできた卒業生の言葉であっただけに、学生には大きな刺激を受けたようであった。
 ちなみに、この講演会に連動して、10月末の大学祭では現役生による支援連携グループが形成され、ケニアのシングルマザーが手作りした工芸品の販売や、チャリティ・フリーマーケットを通じての寄付や啓発などが展開された。
 


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