斎 藤 武 生 教授 文学修士(東京教育大学)

英語学 言語文化学 英語教育学

 

 言語研究には二つの楽しみがあり、一つはデータから言語事実を発見する楽しみ、もう一つは、その言語事実を理論的に説明する楽しみであるといわれます。私の場合、前者の楽しみを大事にしながら、理論的な英文法研究を当面の研究課題としています。興味の焦点は主として統語論と意味論の接点にありますが、近年は言語文化研究とのかかわりもあって語彙意味論にも深い関心を持っています。言語文化学の研究においては、文化遺産としての言語表現の問題と同時に、言語表現にひそむ物の見方・考え方を解き明かしていくことが重要です。後者の問題は「言語表現に隠された文化」を解き明かすことでもありますが、この問題の解明には、言語表現を証拠にした共時的視点からの記述なり説明なりが特に必要だと考えられます。日本語と英語の日常的な言語表現を比較するなかで必要な作業を進めつつあります。

 言語学の発達にはめざましいものがあります。近年の言語学の成果が外国語としての英語の教育にどうかかわってくるかを考えるのもまた大切なことです。「英語教育学」という独立したひとつの専門領域を想定し、その上で、言語学の成果を主体的に問題にしていくことになります。

*『冠詞・形容詞・副詞』(『学校英文法の基礎』第3卷)(共編著)(研究社出版、1984

*『言語文化学事始』(単著)(開拓社、1983

*『学習英文法』(『現代の英語教育』第7卷)(共著)(研究社出版、1978