授業名 比較文学研究  (通年)
ジェンダー/セクシュアリティーと文学批評:倫理的規範に亀裂を入れる性/愛の表象をめぐって
担当教員 松井 佳子/MATSUI KEIKO
授業内容 近年驚くべき速度で近代的な性規範が液状化し、従来の性/愛システムを支えてきた性別二元論、性役割分業、異性愛中心システム、性・恋愛・結婚の三位一体論に基づく近代家族イデオロギー、一夫一婦婚姻制度にみられるような<異性間対関係における性的排他性規範>に決定的な崩壊現象が起きつつある。このような性/愛をめぐるラディカルなパラダイム・シフトは文学作品の中で、性規範からの個別で具体的なズレとして、あるいは現実への抵抗として、または支配的性秩序に疑義を呈するものとして、イマジナリーで臨床的と呼べる世界を現出させている。文学はしばしば規範的価値観への挑戦・抵抗としての役割を果たしてきたわけだが、この授業ではローレンス、デイヴィッド・ヘンリー・ウォンおよび2004年芥川賞受賞の金原ひとみの作品を取り上げ、現代/現在の性/愛をめぐる切実な問題群がどのような欲望や生の実感として文学的表象として結晶しているかを検証することにする。従来の倫理的規範を空中分解させている現代人のやむにやまれぬ性/愛をめぐる感覚の変化は一体どのような文学的言説として結晶化しているのか、テクストが映し出す<個>と<社会>の有機的関係を歴史的視座をも援用しつつ解読したい。集中講義開始の9月1日までにテクスト3冊は読み終えておくこと!
テキスト・
参考文献
D.H ロレンス 伊藤整訳 伊藤礼補訳完訳 チャタレイ夫人の恋人新潮文庫1996
David Henry Hwang, M. Butterfly, Penguin Books, 1989
金原ひとみ蛇にピアス集英社2004
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