大学院受験準備  

神田外語大学大学院 言語科学研究科の受験を考えている方へ



1.大学院受験のための準備


 言語科学研究科は「言語」について学び、研究する大学院です。本研究科では日本語、英語を中心とした「言語そのものの研究」、「言語の習得と教育の研究」、「言語コミュニケーションの研究」を行っています。


1.1. 学部でこれらの分野を専攻した方へ

 これらの分野に興味のある方々であれば、既に学部で関連の科目を履修したことがある方が多いのではないかと思います。言語の研究に関しては、「言語学」「英語学」「日本語学」関連の科目、言語習得や教育に関しては「英語教授法」「日本語教授法」「言語習得」関連の科目、言語コミュニケーションに関しては「コミュニケーション」関連科目です。

 大学院入試の準備として、先ず、第一にやって頂きたいことは、そうした科目で学んだことをノートも含め「総復習」し、そこで用いられたテキストや配布物を、再度しっかり読み直すことです。そうした科目の「概論」「入門」部分をしっかり把握しておくことが、大学院での勉学・研究の土台となります。その理解が不十分なままより高度な読み物にチャレンジしても、目指すべき理解に到達するのは難しいです。遠回りなようでも、基本をしっかり固めることが、大学院入試においても、また、大学院での研究においても、最終的な近道となります。

 さらに、以下に示す基礎的参考文献も参照してください。ただし、「言語」が関わる「範囲」は大変広く、短期間でそれらを全て理解ことは無理ですし、それは入試でも大学院の研究でも期待されていません。基本的な事柄について把握できたと思うなら、これらの「入門」「概論」的な書物や読み物の中で、興味を強く感じることについて、もう少し深く読んで見て下さい。

 以下でリストしてあるのは、そうした読み物としてのヒントです。概論的なものもから少し高度なもの、専門性の高いもの、応用的なものも含まれています。1冊でも2冊でも読んでみることで、自分の研究興味や言語とのつきあい方に「自分なりの方法」に気がついたらしめたものです。それを手がかりにさらに読み進めば「自分の強み」が構築されます。読んでみても、「しっくりこない」なら、他の関連分野のものや、他の読み物タイプを読んでみましょう。「言語」へのアプローチに異なる視点が「自然と」養われることになり、それは、 入試でも大学院での研究でも、必ずや「プラス」となるでしょう。


1.2. 学部時代にこれらの分野を専攻しなかった方へ

 また、本研究科への入学を検討していらっしゃる方々の中には、学部で言語や言語教育を専攻なさらなかった方もいらっしゃることと思います。実際、入学者の中には学部で言語、言語教育、コミュニケーションを専攻していない人も多く、本研究科を受験するのに学部時代の専攻が障害となることはありません。

 そのような方々は、言語研究、言語教育研究、コミュニケーション研究に興味を持つようになったきっかけと理由があると思います。そのような理由ときっかけが、これらの学問分野でどのような位置付けになるのかということを、入門書や概説書を全体的に読むことによって理解し、さらに理解を深めるために関連の文献を読むようにして頂きたいと思います。学部でこれらの分野を専攻した方々と同様、基礎的な知識を持っていることが、大学院に入ってからの研究の土台となります。焦らずに、じっくり進んで頂きたいと思います。


1.3. 研究計画書の書き方

 入学試験前に提出して頂く研究計画書は、入学前の興味について書いて頂き、それによって本研究科に入って研究をすることができるレディネスがあるかどうかを判断するためのものです。従って、入学後にその研究計画に従って研究を行わなければならないと決まったものではありません。

 入学後に様々なクラスを受講し、また、指導教員からの個別指導によって、それまで自分では気がつかなかった研究テーマに出会うこともあります。テーマは同じでも、指導を受けることによって研究方法や考え方が異なって来ることもあります。

 むしろ、真剣に授業を受け、指導を受けるなら、入学後に研究計画が変更されることが自然であり、それが良い学びを行っていることの結果でもあるのです。 私たちが研究計画書によって見たいと思っているのは、興味を持ったテーマについて、どのように自分なりに文献調査し、どのように調査、研究したら一定の成果を出すことができると考えているかということです。つまり、興味を研究に結びつけることができる能力があるかないかを見たいと思っているのです。 ですから、是非自分で本や論文を読んで、自分の興味が分野の中でどのように位置づけられるのか、また、どのような研究が可能なのかを考え、それを自分の言葉で研究計画に書いてください。



2.基本図書

(以下に基本書名をリストし、その次行に、参考として、アマゾンの該当ページへのリンクをはってあります。ただし、在庫切れや改訂のため、リンクが切れてしまう場合もあり得ますので、あくまで参考としてご覧ください。)


2.1. 英語力アップのための基本図書

 大学院で研究するには、学術的な英語を読みこなしていかなければなりませんが、そのためには学術英語で用いられる基礎的な単語を覚えたり、学術英語の文体に慣れる必要があります。以下、そのための参考書を挙げます。

・『東大英単』 東京大学教養学部英語部会(編著) 東京大学出版 2009
基本語彙を280に絞っているが、それらについての簡単な文法、例文と説明が豊富で、日本人の学生向けの注意点も丁寧で、自らの英語力を確認し体系的にレベルアップを図るには一読・精読の価値がある。
東大英単


・『京大学術語彙データベース 基本英単語1110』 京都大学英語学学術語彙研究グループ+研究社(編) 研究社出版 2009
京大・学術語彙データベース 基本英単語1110


・『院単 大学院入試のための必須英単語1800』 安藤文人 2006 ナツメ社
院単―大学院入試のための必須英単語1800


Word Power Made Easy (Mass Market Paperback) by Norman Lewis.
語彙力を増やすためのもの。語が基本的な単位からなっていることを気づかせてくれる良書.平易な英語で書かれており、練習問題付き.英語を読むトレーニングにもなる.
Word Power Made Easy


・『英語のフォニックス』 (ジャパンタイムズ社) 竹林茂著
英語のスペルが無規則でないことを気がつかせてくれる。単語を覚えるコツがつかめる.
英語のフォニックス―綴り字と発音のルール


2.2. 言語研究の理論的考察や方法論の基盤としての生成文法の考え方を学べる図書

・渡辺明 (2009) 『生成文法』 東京大学出版会.
生成文法


・岸本秀樹 (2009) 『ベーシック生成文法』 ひつじ書房.
ベーシック生成文法


・長谷川信子 (1999) 『生成日本語学入門』 大修館.
生成日本語学入門


・北川善久・上山あゆみ (2005) 『生成文法の考え方』 研究社出版.
生成文法の考え方 (英語学モノグラフシリーズ)


・原口庄輔・中島平三・中村捷・川上誓作(2000)『ことばの仕組みを探る』研究社出版.
ことばの仕組みを探る―生成文法と認知文法 (英語学モノグラフシリーズ)


・阿部潤 (2008) 『問題をとおして学ぶ生成文法』 ひつじ書房.
問題を通して学ぶ生成文法


・立石浩一・小泉政利(2001)『文の構造』研究社出版.
文の構造 (英語学モノグラフシリーズ)


・Haegeman, Liliane (1994) Introduction to Government and Binding Theory (2nd ed.)Blackwell.
Introduction to Government and Binding Theory (Blackwell Textbooks in Linguistics)


・Haegeman, Liliane and Jacqueline Gueron (1999) English Grammar: a GenerativePerspective. Blackwell. English Grammar: A Generative Perspective (Blackwell Textbooks in Linguistics)



2.3.日本語の文法、意味、語彙

・森山卓郎 (2000) 『ここからはじまる日本語文法』
ここからはじまる日本語文法


・久野ワ (1973) 『日本文法研究』 大修館書店
日本文法研究


・久野ワ (1978) 『談話の文法』 大修館書店
談話の文法 (日本語叢書)


・柴谷方良 (1978) 『日本語の分析』 大修館書店
日本語の分析


・国広哲弥(1982)『意味論の方法』大修館書店
意味論の方法 (1982年) (日本語叢書)


・長谷川信子(1999)『生成日本語学入門』大修館.
生成日本語学入門


・森田良行(1989)『基礎日本語辞典』角川書店
基礎日本語辞典


・森田良行(1996)『意味分析の方法』ひつじ書房
意味分析の方法 新版―理論と実践 (ひつじ研究叢書 言語編 第 11巻)


・玉村文郎(編)(1992)『日本語学を学ぶ人のために』世界思想社
日本語学を学ぶ人のために


・庵功雄(2001)『新しい日本語学入門』 スリーエーネットワーク
新しい日本語学入門―ことばのしくみを考える



2.4. 日本語の音声・音韻、方言、歴史

・窪薗晴夫 1999『現代言語学入門 2 日本語の音声』岩波書店
日本語の音声 (現代言語学入門 2)


・小泉保  2003『音声学入門 改訂』大学書林
改訂 音声学入門


・斎藤純男 2006『日本語音声学入門 改訂版』三省堂
日本語音声学入門


・中條修  1989『日本語の音韻とアクセント』勁草書房
日本語の音韻とアクセント


・亀井孝他編1963〜1966『日本語の歴史(全8巻)』平凡社
日本語の歴史(全8巻)


・山口仲美 2006『日本語の歴史』岩波新書
日本語の歴史 (岩波新書)


・井上史雄 1998『日本語ウォッチング』岩波新書
日本語ウォッチング (岩波新書)


・平山輝男 1968『日本の方言』講談社現代新書
日本の方言 (講談社現代新書 160)


・小林 隆・篠崎 晃一編2003『ガイドブック 方言研究』ひつじ書房
ガイドブック方言研究



2.4. 日本語教育学・英語教育学

・エリス, R.(牧野 高吉 訳)(1988)『第2言語習得の基礎』(ニューカレンツインターナショナル (= Ellis, R. (1986).
Understanding Second Language Acquisition
. Oxford University Press)

第2言語習得の基礎

Understanding Second Language Acquisition (Oxford Applied Linguistics)


・クック, V.(米山 朝二 訳)(1993)『第2言語の学習と教授』研究社 (= Cook, V. (1991).
Second Language Learning and Language Teaching
. Edward Arnold)

第2言語の学習と教授

Second Language Learning and Language Teaching


・J.V.ネウストプニー、宮崎 里司(編)『言語研究の方法』くろしお出版
言語研究の方法―言語学・日本語学・日本語教育学に携わる人のために


・白井恭弘『外国語学習に成功する人、しない人:第二言語習得論への招待』岩波書店
外国語学習に成功する人、しない人―第二言語習得論への招待 (岩波科学ライブラリー)


・坂本正ほか編(2008)『多様化する言語習得環境とこれからの日本語教育』スリーエーネットワーク
多様化する言語習得環境とこれからの日本語教育


・高見沢 孟(1989)『新しい外国語教授法と日本語教育』アルク
新しい外国語教授法と日本語教育 (NAFL選書)


・岡崎 敏雄・岡崎 眸(1990)『日本語教育におけるコミュニカティブ・アプローチ』凡人社
日本語教育におけるコミュニカティブ・アプローチ


・石田 敏子(1992)『入門日本語テスト法』大修館
入門 日本語テスト法


・水谷 信子(1994)『実例で学ぶ誤用分析の方法』アルク
実例で学ぶ誤用分析の方法 (日本語の教え方実践マニュアル)


・岡崎 敏雄(1989)『日本語教育の教材』アルク
日本語教育の教材―分析・使用・作成 (NAFL選書)


・迫田久美子(2002)『日本語教育に生かす第二言語習得研究』アルク
日本語教育に生かす第二言語習得研究


・畑佐由紀子(編)『第二言語習得研究への招待』くろしお
第二言語習得研究への招待


・小柳かおる『日本語教師のための新しい言語習得概論』スリーエーネットワーク
日本語教師のための新しい言語習得概論


・庵功雄・他『初級を教えるための 日本語文法ハンドブック』スリーエーネットワーク
初級を教える人のための日本語文法ハンドブック


・庵功雄・他『中上級を教えるための 日本語文法ハンドブック』スリーエーネットワーク
中上級を教える人のための日本語文法ハンドブック


・日本語教育学会(1993)『日本語教育事典(縮刷版)』大修館
日本語教育事典


・日本語教育学会(1990)『日本語教育ハンドブック』大修館
日本語教育ハンドブック


・日本語教育学会(1991)『日本語テストハンドブック』大修館
日本語テストハンドブック


・国際交流基金(1993)『海外の日本語教育の現状』国際交流基金
海外の日本語教育の現状―日本語教育機関調査 (1993年)


・国際交流基金・日本国際教育協会(1994)『日本語能力試験 出題基準』凡人社
日本語能力試験出題基準



2.5.コミュニケーション関連図書

・池田理知子・E. M. クレーマー(2000)『異文化コミュニケーション・入門』有斐閣アルマ
異文化コミュニケーション・入門 (有斐閣アルマ)


・池田理知子編著(2010)『よくわかる異文化コミュニケーション』ミネルヴァ書房
よくわかる異文化コミュニケーション (やわらかアカデミズム・わかるシリーズ)


・石井敏、久米昭元編著(2005)『異文化コミュニケーション研究法―テーマの着想から論文の書き方まで』有斐閣ブックス
異文化コミュニケーション研究法―テーマの着想から論文の書き方まで (有斐閣ブックス)


・ヴァーガス、M.(1987)『非言語コミュニケーション』新潮社
非言語(ノンバーバル)コミュニケーション (新潮選書)


・河合隼雄、石井米雄(2002)『日本人とグローバリゼーション』講談社
日本人とグローバリゼーション (講談社プラスアルファ新書)


・末田清子、福田浩子(2003)『コミュニケーション学:その展望と視点』松柏社
コミュニケーション学―その展望と視点


・Hall, E. (1966)『沈黙のことば』南雲堂
沈黙のことば


・宮原哲(2006)『入門コミュニケーション論』松柏社
入門コミュニケーション論


・八代京子ほか(1998)『異文化トレーニング―ボーダレス社会を生きる』三修社
異文化トレーニング―ボーダレス社会を生きる


・八代京子ほか(2001)『異文化コミュニケーション・ワークブック』三修社
異文化コミュニケーション・ワークブック


以上